ヨーガン・テラーさん

2017.02.10 Friday

0

    iPhone 7+

    原宿のBLUM&POEで開催中のヨーガン・テラーさんの写真展へ行った。東京での写真展は実に25年ぶりなのだという。ということは、彼のアシスタントをしてから25年が過ぎたということだ。あっという間だなあ、と記そうとして、いや、そんなことはない、その間ずいぶん多くのことがあったなあと思い直した。25年、四半世紀。それなりの密度と重さが感じられるのは、ヨーガンさんが駆け上っていった軌跡の眩しさのせいもある。25年前に彼はヨージヤマモトの撮影で東京に滞在していた。縁あってアシスタントをしたのだが、マミヤ6とライカのコンパクトを交互に使う撮影スタイルは、僕が知っているプロカメラマンたちとは全く違っていて、一言で済ますなら、とても素人くさかった。立派な機材を立派なバックに詰め立派な車に乗り、アシスタント数人を使い分けて現場を仕切っていくカメラマンの姿しか知らなかった僕には、ヨーガンさんのよれよれ感は、ああ、これなら僕にも出来るなと大きな自信を与えてくれたのだった。僕は立派側でなく、よれよれ側でやっていこうと、即決した。ぺらぺらしたナイロンのアディダスバックに無造作に入ったフィルムをおやつでも取り出すようにして取り上げている姿は今でも忘れられない。そんな彼が、アートとファッションの間を行き来して登っていった先には何があるのだろう。彼の新しい写真展は大型のカエルだけが写っていた。アートやファッションに捕まらないように軽やかに逃亡しているのだろうか?ただの好奇心なのだろうか?彼の写真の持つ独特の美しい違和感はやはりあって、それは手放しで褒めるのをいつも躊躇させるのだが、居心地の悪さは、きっと彼の一部なのだろう。25年前の撮影あとでの夕食時、僕は生意気にも、「カメラなんてなんだっていい。手の中に収まるのなら」とヨーガンさんに言ったのだが、彼は穏やかに頷いて「IT'S TRUE」と返事をした。僕は、彼のカエルに「IT'S TRUE」と呟くことはなかった。その時はそんなこと思い出してなかったから。
    関連する記事
    コメント
    素敵だな。
    • by majime
    • 2017/02/12 10:31 AM
    コメントする
    トラックバック
    この記事のトラックバックURL