伝説のラリー・レヴァン、パラダイスガラージュ
2017.02.01 Wednesday
konica BIG MINI
80年代後半から90年代初期の東京のクラブシーンをテーマにした写真集を準備している。膨大なネガの山から、ざっくりとスキャンし、それを薄い写真用紙にざざっとプリントアウトしたものから、ざざっと編集し糊付けし、厚さ数センチの仮本を作って、当時を知る友人に見ていただいた。見ていて元気になる、という感想にぐっときた。ノスタルジーとかではなくて、活力が与えられるという。明確な到着点もないままに、ただ手を動かしていたら、エネルギーに満ちた、スピーカーからの大音量でフロアが揺れるようなものが出来ていた。すべて白黒で構成されているのは、当時僕がカラーフィルムを使うような余裕がなかったからだ。銀紙に包まれて3本パックのトライxをヨドバシでごそっと買って使っていた。大学を卒業してカメラマンのアシスタントをしつつ、夜な夜な通っていたクラブをただひたすらに撮っていた。それはポートレイトだったり、フロアだったり、DJだったりしたわけだが、中でも一つのハイライトは伝説のDJラリー・レヴァンをGOLDで撮影できたことだろう。写真嫌いで有名な彼の目線ありのポートレイトは僕の宝物だ。そして、それは大げさではなく、あの頃あの夜に集まっていた僕たちの宝物になり得るとも思う。NYシーンの王様のプレイは静かに熱く、僕たちはNYの夜と朝に恋するようにその場で踊っていた。音楽というよりも、より音そのものに近い。そんな感動を覚えながら、僕はラリーの前で揺れていた。もちろん揺れているばかりでなくて、写真も撮った。ここではアザー的な写真をのせたけど、横位置の写真がこれしかなかったというのが理由だ。このブログは横だけと決めているから。たとえば、70年代にはパンクがあったことを、それをドキュメントした写真が伝えているように、あの頃にクラブシーンがあったことを写真で残しておきたいと願っている。僕はあれをなかったことにしたくないのだ。写真は時代の共有財産でもある、というと四角い言い方になるが、僕が初めてそこを意識して出すのが、この写真集になる。ラリー・レヴァンの写真はその芯に位置すると思う。
コメント
写真集、楽しみにしてます。
- by saito
- 2017/04/24 4:28 PM
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